タビスルチチタチ

1951年(昭和26年)から1977年(昭和52年)までを舞台に、 ゲゲ郎と水木を描いたシリーズです。

ときにすれ違い、ときに寄り添いながら、 さまざまな理由で日本各地を旅します。 再会を経て鬼太郎を育てる日々もあり、 時代の移り変わりとともに、関係も少しずつ変化していきます。

旅先の風景や建物、人々の暮らしに触れながら、 昭和を生きる二人の日常を描いています。

非CPですが、距離感は近めです。

タビスルチチタチ タビノネンピョウ

シリーズの二人の旅と出来事を、年表形式でまとめました。

「▶︎」マークのついたコメントをクリックすると、 それぞれの作品へのリンクと簡単な説明文をご覧いただけます。

一九五一 水木編

1951 昭和26年

水木、闇市に身を寄せて去るまで

場所 東京都台東区上野
登場する妖怪 土転び

引き揚げ後、職も家財も失った水木くんが、一時的に闇市に身を寄せていたのではないかという想像から生まれたお話です。闇市の風景は、当時の上野駅周辺を参考にしました。

歳末編で再会するモブのおじさんは、このお話で水木くんの世話を焼いていた人物です。闇市から続く商売の道を歩み、同じ土地で再び水木くんと人生が交差する。深く関わることはなくても、あの時確かに出会っていた人がいたという繋がりを描けたらと思いました。

このお話に登場する土転びも、歳末編と同じ個体です。長い時間、変わりゆく上野の片隅にいて、水木くんをはじめ、そこを行き交う人たちを見てきた存在として描きました。

印刷仕様

印刷所
プリントオンさん・プリンパさん
表紙
ミランダ 黒+トレペ 白刷り

印刷はプリントオンさんの「モノクロセット」に、プリンパさん印刷の白印刷トレペを帯状にカットして巻いています。
表紙にはミランダ黒を使用しました。紙そのものが細かくきらめく特殊紙ですが、黒インクを乗せることで光沢が抑えられ、印刷していない部分との輝きに差が生まれます。いわば「白抑え」ならぬ「黒抑え」のようなイメージです。 水木くんの瞳は黒インクを0%にしており、表紙の中で最も輝くようにしています。

表紙の写真

瞳の部分以外、全体的に40〜60%くらい黒ベタ塗りしています

総集編 scene0•1

1956-7 昭和31-32年

幽霊飴とゲゲ郎との再会

場所 東京・某所
アイテム 幽霊飴

鬼太ちゃんが原因不明の栄養失調に陥り、困り果てた水木くんのもとへ届けられた「幽霊飴」。その手配をしていたのは、陰ながら二人を気に掛けていた目玉おやじだった──そんな想像から生まれたお話です。

scene0

冊子では一番最後のページに入れていました。

scene1






冊子の始まりのお話でした。

幽霊飴の元ネタは、全国各地に伝わる「飴を買いに来る幽霊」の伝承から。亡くなった母親が飴で我が子を育てるという話が各地に残っていることから、この世界にもどこかで繋がっているのではないかと思い、物語に取り入れてみました。

作中の幽霊飴は水飴にしています。これは『まんが日本昔ばなし』での描写と、戦後の物資不足という時代背景を踏まえたものです。鬼太ちゃんに飲ませられることも水飴にした理由のひとつでした。

また、秋編に登場する桑名の飴屋さんは、この幽霊飴を扱っていたお店という設定です。幽霊飴と幽霊族の関係は完全な想像ですが、名前が似ている以上、つい結び付けて考えたくなってしまいました。

ゲゲ郎が目玉から人の姿へ転じることができた背景にも、まだ描いていない時間が残っています。いつか描いてみたいな。

リソグラフ印刷

2色刷り
上 青 / 下 コーラル
用紙
カーネル

これまでのシリーズでは使用していない紙と色の組み合わせです。タビスルチチタチシリーズ総集編のために選んだ仕様になります。

総集編 昭和35年5月

Interlude

"帰る”場所と事実発覚

場所 東京・某所
アイテム 幽霊飴

ゲゲ郎が「帰る場所」という感覚を覚えるお話です。

ゲゲ郎が居候するようになってからは、幽霊飴も自ら受け取りに行くようになり、「行ってきます」と「おかえり」を交わす日々が水木家では当たり前になっていくのかなと考えていました。

奥さんと暮らしていた頃の家そのものには特別な意味はなく、ゲゲ郎にとっては「奥さんがいる場所」だからいる、くらいだったんじゃないかなと。

一方、水木家は自分の意思で選んだ場所。何気ない挨拶を交わすうちに少しずつ「帰ってきたい場所」へ変わっていったらいいな、と考えながら描いていました。

余談ですが、冒頭の「昭和35年5月」という表記は、初夏編とつながっているというつもりで入れています。水木くんはまだ記憶が戻っていない設定で「廃寺の包帯男=ゲゲ郎」とは結び付けていません。昭和35年まで父親だと気づかなかった、というわけではありません笑。



リソグラフ印刷

2色刷り
上 若葉 / 下 限定色さくらんぼ
用紙
色紙 ライトグリーン

総集編の再録です。⚪︎⚪︎編とリンクしているページはそれぞれの初版と同じインク・紙を使用しています。

初夏編

1960.05 昭和35年5月

飛び石連休に旅の想いを馳せる

場所(?) 福井・南条郡
登場する(?)妖怪 夜叉ヶ池の龍神

実はどこにも旅に出ていない二人。家の軒先で酔っ払った二人が、 「飛び石連休」と呼ばれた連休に、旅へ行くならどこへ行こうかと語り合うお話です。 結局、いつか行くかもしれないし、行かないかもしれません。

水木くんが話題にするのは、夜叉ヶ池の舞台にも近い福井県の北陸トンネルです。当時、開通前のトンネル掘削中に温泉が湧き出たというニュースをもとにこの土地を選びました。

1962年の北陸トンネル開通によって、若狭湾を見下ろす杉津の景観ルートは廃止されました。作中で水木くんが乗っている列車もこのルートを走っているイメージです。線路跡は現在も生活道路として地域の暮らしを支えています。

総集編に入れた特に知る必要のない小ネタです。

リソグラフ印刷

2色刷り
上 若葉 / 下 限定色さくらんぼ (初版)
1色刷り
ラベンダー
用紙
色紙 ライトグリーン

レトロ印刷さんの当時の限定色がさくらんぼと聞き、この色で刷れる内容と風景をと考えてこの話ができました。発行が5月だったのもあり新緑らしい名前の若葉のインクと組み合わせています。ラベンダー色と緑の髪の組み合わせもなんだかとってもいい感じにできました。

一九五一 ゲゲ郎編

1960.0X 昭和35年某月

ゲゲ郎と水木母との約束ごと

場所 東京・某所

ゲゲ郎編と銘打っていますが、水木くんのお母さんから見た「水木家の居候・ゲゲ郎」のお話です。特別な出来事ではなく、日常の中でふとこぼれた想いをゲゲ郎が静かに受け止める。そんな時間を描きました。

水木編では水木くんの過去を自分なりに想像して描いたので、ゲゲ郎編では『タビスル〜』の二人の空気感につながる日常を描きたいと考えていました。その中で、自分の中で形にしておきたかったのが水木母と二人の関係です。

鬼太ちゃんによく似た大男が突然現れそのまま居候になる。普通なら戸惑ってしまいそうな状況ですが記憶を失った息子が帰ってきて、さらに謎の子どもまで受け入れてきた水木くんの母なら、「息子が望むなら」とゲゲ郎のことも自然に受け入れていたのかなと。また、息子には言えなかった気持ちをゲゲ郎には少しずつ話せるようになっていたらいいなという想像も込めています。

水木母を描いてみたいと思ったきっかけは、映画で戦地から帰ってきた息子にすがる場面でした。あの場面は状況がそうさせただけで、本来は水木くんのような気持ちのいい人柄だったのではないかという解釈からこのお話が始まりました。

最後の約束は水木母だけが交わしたつもりでいます。ゲゲ郎は最後まで頷いていません。妖怪にとって言葉や約束には重みがあると思っているので、人間への配慮も込めて、また約束事は水木くんだけ、とあえて返事をしないままにしました。

イラスト

ゲゲ郎編もミランダ黒に黒インク刷でした。

総集編 scene2

1960.0X 昭和35年某月

水木の失った記憶について

場所 東京・某所

水木くんの失った記憶が、映画のあとどんなふうに戻っていくのか。このシリーズを描く中でずっと考えていたことのひとつです。

このシリーズでは、記憶は一度に戻るのではなく少しずつ断片的に思い出していく形で描いています。ゲゲ郎と名付けた時や、一緒に食べたアイスだったり。閉じ込められていた記憶の中から、静かに溢れ出すようなイメージです。

印象の強い出来事だからといってつらい記憶ばかりが先に戻るとは限らない気がして、この水木くんにはそういう思い出し方がしっくりきました。

思い出したとしても、過去は変えられないことを水木くんなら受け止められる人だと思っています。それでも「知っていたらできたこと」があったのではないかと悔やむことはあるのかもしれません。隣に当事者のゲゲ郎がいるからこそ、なおさら。

だからこそ、ゲゲ郎が映画で口にした「お主の生きる未来、この目で見てみとうなった」という言葉の続きを考えてみたくなりました。過去や後悔ではなく、自分が守りたかった子どもの未来を守ってくれた人へ。「覚えていなくても、守ってくれたものがある」と伝える時間があったらいいなと思いながら描いた幕間です。


リソグラフ印刷

2色刷り
上 青 / 下 コーラル
用紙
カーネル

夏編 大阪・東京版

1960.08 昭和35年8月

人相書きと妖怪退治

場所 北海道・幌別郡幌別町
登場する妖怪 一つ目の妖怪

人相書が出回ったことをきっかけに、相談を受けて遠路はるばる北の大地へ。タビスルチチタチシリーズ一番最初の旅です。

当時と現代では交通手段も人の流れも大きく違います。今なら半日ほどで着いてしまう場所も、この頃は二日ほどかけて向かうことも珍しくありません。「旅情」という言葉がよく似合う時代です。シリーズ名にもあるように当時ならではの旅の空気も描いていけたらと思っていました。

さて、人相書。

ゲゲ郎が酔った勢いで相棒のことを妖怪たちに話してしまい、二人の存在が妖怪の世界にも知れ渡ることになります。頼ってくれる者が増える一方で、敵意を向けられることもあるかもしれない。鬼太郎のことも考えて、自分の言葉や行動がどう影響するのか想像してほしいといった思いでゲゲ郎を諭す水木くん。

自分は一歩引いた立場だからこそ、親子を見て言えることもあったのかなと。鬼太郎を思って言葉を掛けるのも、水木くんらしい関わり方だったように思います。

そんな水木くんを見て、ゲゲ郎もまた何かを感じていたのかもしれません。

二人がそれぞれの形で、鬼太郎の父親になっていくという始まりのお話です。

大阪版と東京版の裏面では、それぞれ少し違う水木くんの変化を描いていますので、よければ通して見てみてください。

総集編に入れた特に知る必要のない設定裏話です。

リソグラフ印刷

大阪版 2色刷り
上 青 / 下 緑
東京版 2色刷り
上 スカイ / 下 マンゴー(初版)
1色刷り
にびいろ
用紙
色紙 アイボリー(初版)

東京版に使用したマンゴーは、オレンジより鮮やかで明るめの限定色の色。初版以降は蛍光オレンジで刷っています。欠品中の印刷はレトロ紙Aを使用しました。刷り色や紙、さらに二種類とシリーズの中で一番仕様のバリエーションの多い回になりました。

総集編 夏編幕間

Interlude

人相書その後

場所 東京・某所
アイテム 人相書

この幕間は時系列では夏編で登場した人相書、その後のお話です。夏編をお持ちでない方には少し分かりづらい内容になってしまいました。

人相書が広まったことで水木くんの周りには少しずつ妖怪たちが彷徨くようになります。そのことがきっかけで村での記憶を思い出し、いずれゲゲ郎や鬼太郎が狙われるくらいなら、自分が離れた方がいい――そう考えてしまうことを見越しあらかじめゲゲ郎へ伝えていたのはネズミくんでした。

半妖だから人間の気持ちが分かるのか、それとも水木くん限定なのか。水木くんのことは自分が一番理解していたいのに、その未来を先に読まれていたことがゲゲ郎には少し面白くなく。

だったら、自分のやり方で状況を変えればいい。人相書で広まった噂を逆に利用して、「水木に手を出すくらいなら、自分に相談しろ」と言う。あの幽霊族が言うならやめておこといった空気が広がれば、水木くんの周りをうろつく妖怪も少しは減るかもしれません。

力でねじ伏せるのではなく、噂や空気を利用して事態を収める。そんなところも荒事を好まないゲゲ郎らしいのかなと思いながら描きました。人生経験豊富なゲゲ郎もいいなと思っています。

イラスト



リソグラフ印刷

2色刷り
上 青 / 下 緑
用紙
色紙 アイボリー

総集編 秋編幕間

Interlude

記憶を集める箱

場所 東京・某所
アイテム 思い出の箱

夏編の旅を終えた二人のもとへ、登別の旅館の女将さんから絵葉書が届く旅の余韻のような一編です。こちらも夏編の内容を引き継いでいます。

当時は旅先でのやり取りといえば手紙や絵葉書が主流でした。一枚の便りにはその土地の景色や空気まで一緒に閉じ込められているような気がします。

旅先で手にした切符やパンフレット、絵葉書など思い出の品を取っておく方も多いのではないでしょうか。忘れたくない出来事は無理に覚えていようとしなくても、思い出の品があればふと思い返したり誰かとの話のきっかけになったりする。そんなふうに大切な時間を少し預けておけたらいいなと思っています。

溢したくない記憶も、失ってしまった記憶も、無理に抱え続けなくてもいい。その時間は思い出の品と一緒にどこかに残っていてくれるという私なりの解釈で描いたお話です。


リソグラフ印刷

2色刷り
上 ボルドー / 下 黄土
用紙
色紙 クリーム

秋編

1960.10 昭和35年

父親同い年

場所 三重・桑名市
アイテム 幽霊飴

たびたび登場していた幼い鬼太ちゃんの栄養源でもあった幽霊飴。その飴屋さんへお礼参りに向かう、チチタチの道中のお話です。

この頃は高度経済成長の中でマイカーブームが訪れ、山岳や海岸線には新しい道路が造られ、観光地として整備されていく時代でした。美しい景色を楽しめるようになった一方で「見えないもの」たちにとっては住処を追われることと同義でもあります。この因果は地上を追われた幽霊族の姿ともどこか重なるように思えました。

水木くんたちがバイクで走っていた橋は尾張大橋がモデルです。落成前は日常の足が船による水上交通だったほどの水郷地帯で、橋の完成によって暮らしや景色が大きく変わった場所でもありました。

鬼太ちゃんの前では、種族も生きてきた時間も育った環境も関係なく、二人とも同じ父親です。村では相棒として歩いてきた二人が、鬼太ちゃんを育てる中で父親どうしとして新しい関係を少しずつ築いていく。そんな二人をこのシリーズでは描いていけたらいいなと思っています。

リソグラフ印刷

2色刷り
上 ボルドー / 下 黄土
1色刷り
用紙
色紙 クリーム

季節に合わせた色合いと紙の組み合わせができたらいいなぁと思いいつも勘で選んでいますが、今回も秋らしい焼き芋みたいな色と、 裏面は紅葉のような色合いになりました。

冬編

1962.02 昭和37年

噂で生まれた妖怪のような存在

場所 新潟・湯沢町
登場する妖怪 生成りの妖怪

冬編は、人間から依頼を受けた二人が旅をするお話です。

高度経済成長とともに観光ブームが訪れ人々がさまざまな土地を訪れるようになりました。文学作品に描かれた世界と現実が結びつき「作中に登場したものが実際に存在したのではないか」と人々が想像することもあったのではないかと考えながらこの物語を形にしました。

人々の想像が噂になり広まることで妖怪が生まれることもあったのではないか。力で祓うのではなく噂そのものが変わることで自然と役目を終える。そんな妖怪がいても面白いのではないかと思い、このお話を描きました。

鬼太ちゃんの成長とともに子育ても少し落ち着き、再び相棒として旅をする二人を思い描きました。これからも父親としてそして相棒として歩んでいく二人の旅を少しずつ描いていけたらと思っています。

※文学作品と現実が混ざるお話を描いていたら特急「とき」まで少し早く来てしまいました笑

総集編に入れたちょっと見てもらえたら嬉しい設定裏話です。

リソグラフ印刷

2色刷り
上 灰 / 下 濃紺
1色刷り
用紙
シンスクレ

軽くてやさしい触り心地…とのことですが、折るには少し向いていませんでした。折った時、赤系と青系のインクをなぞるので一番手やテーブルに色が移ってしまう組み合わせでした。 第二刷以降は2色刷の刷色を上下変えています。主線にするインクを一番上にすると綺麗に色が出ます。

春編

1970.03 昭和45年

忘れられていく時代の遺物たち

場所 兵庫・多紀郡
登場する妖怪 芝右衛門狸

芝右衛門狸が暮らす丹波篠山を訪ねるお話です。

戦争を知る者が少なくなっていく中でそれでも土地には当時の面影が静かに残っています。そうした風景を見ながら「知っている者が覚えておかないと」という芝右衛門狸の言葉をこの町に託してみました。

その言葉は水木くん自身にも重なります。かつての仲間たちを忘れないこと、そして少しでも慰めることはできないだろうかという思いを、デカンショ節にのせて歌う一編になりました。

篠山線は廃線となった今も、地元の方々が記録を残しその足跡を訪ねる人がいます。連隊跡や戦争で亡くなった方々のお墓もこの町の歴史を静かに伝え続けています。芝右衛門狸の言葉はそうした風景に重ねた言葉でもありました。

リソグラフ印刷

2色刷り
上 ミント / 下 桃
1色刷り
ラベンダー
用紙
色紙 ライトピンク

総集編 春編幕間

Interlude

積み重ねてきた三人の帰る場所に

場所 東京・某所

春の旅を終え、新たな一歩を踏み出すまでを描いた幕間です。

この場面はシリーズの中でもずっと描いてみたかったお話でした。 旅や何気ない日々を積み重ねてきたからこそ「いってらっしゃい」という送り出す言葉や「帰ってくる時は帰省だ」と迎える約束が自然に生まれたのだと思っています。水木くんの家が二人にとって帰る場所として描けていたらと、このお話を綴りました。

そしてもう一つ、このお話で描いてみたかったのがゲゲ郎が長い時間を経てようやく水木くんへ届けられた想いです。 ずっと胸の内にあった言葉をいつか水木くんへ面と向かって伝えられたら──そんな思いを、この物語に込めました。

イラスト






リソグラフ印刷

2色刷り
上 ミント / 下 桃
用紙
色紙 ライトピンク

春編では春らしい〜かわいい色合いだと思って組み合わせましたが、こちらは明け方の空の色をやってみたくてグラデーションを多用しています。 使い方次第で印象が変わる(と、自分は思っている)のも二色刷+色紙の面白いところです。

歳末編
総集編 歳末編

1977.12 昭和52年

帰る場所があるから旅に出られる

場所 東京・上野
登場する妖怪 土転び

シリーズ最後の旅は二人が帰る場所のお話です。

旅を重ねる中で行く先だけでなく帰る場所も少しずつ形になっていきました。 「いってきます」と出かけ「ただいま」と帰ってくる。 旅の終わりが家であることを最後に描いてみたかった一編です。

歳末で賑わうアメ横は1951年の水木くんのお話でも参考にした場所です。闇市から日本有数の商店街へと姿を変えた同じ街をもう一度描くことで水木くん自身が経てきた時間の長さも重ねてみました。

また、土転びも久しぶりに登場します。発行順ではこちらが初登場になりますが、物語の時間が進んだあとにもう一度出会うことで再び視線が重なる巡りを込めました。


リソグラフ印刷

2色刷り
上 限定色エメラルド (初版) / 下 オレンジ
1色刷り
用紙
レトロ紙A

一番最初に発行したのがこの歳末編でした。イベント前日会場近くのホテルに届けてもらって夜な夜な折ったのもいい思い出です。

ご覧いただきありがとうございました。 自分の描いたものを言葉で補足することには少し迷いもありますし実力不足だと感じています。それでも装丁や印刷インクが年代とリンクしていたり全体が時系列になっていたりと言葉にすることでより楽しんでいただける部分があるのならと思い年表に添えてみました。